中高年のセックスフレンド事情
恋もすれば再婚もする
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最近では比較的オープンに語られるようになった中高年のセックス。でも自分の親も抱えている悩みとして考えるのはけっこう難しいことだ。一般的に「老い=枯れる」というイメージがあるが、それは必ずしも異性への思いを失ってしまうということではない。人とのふれあい、肌のぬくもりを感じて生活することはいくつになっても必要なことなのだろう。手を握る、体をさすることで寂しさや辛さをいやし、病人の痛みもやわらぐスキンシップの効果は、若者だけに与えられる特権ではない。
層考えれば、親の恋愛や再婚も自然なことだ。「同居しているから親に淋しい思いはさせていない」といったところで、心にあいた穴を子どもが埋めてあげることはできない。
ところで少しずつ増えているものの、60歳以上で実際に婚姻届を出すケースは男性で約3400人、女性で約1200人程度。意外に多いと思うかもしれないが、その年代で配偶者をなくした人口が推定で男性約120万人、女性約620万人だから、割合からすれば微々たる数ということになる。
また、再婚を望んでいる数はハッキリしないが、入籍しないでお互いを認め合う別居伴侶という形をとっていたり、日常生活にはまったく関わらない精神面だけのパートナーというケースも多い。実際「子どもに遠慮して」という場合も少なくないようだ。
高齢者の結婚や恋愛についての調査によると、再婚に否定的な理由としては「再婚相手と家族の人間関係に問題がある」がダントツで、以下「世間体が悪い」「相続問題」「年甲斐がない」など、うしろめたさを感じさせる意見が多い。
世間体など心理面での問題はさておいて、やはりネックになるのは相続と扶養の問題だ。法律では相続の割合は長年生活を支えあってきた配偶者が優先され、財産の2分の1は配偶者に、残りを子どもが平等に分けることになっている。となると、数年しか連れ添わない再婚相手に財産を取られてしまうという意識が子どもに働くのもやむを得ない。
こうしたトラブルを防ぐ手立てとして、配偶者の相続分を少なくしたり、相続はしない代わりに生命保険金の受取人にする、遺族年金だけ受け取れるようにするといった形が考えられる。いずれも相続のときにめもないように、親ときちんと話し合っておくことが大切だ。ちなみに、子どもには親の再婚相手の扶養義務は生じない。
逆に子どものほうから、親に再婚相手を紹介するような状況になったら、公的結婚相談所、寿大学、カルチャーセンターなどの集まり、「無限の会」など求婚者をサポートする民間福祉団体などを利用するのもひとつの手。人生が長くなった分、生きていく支えとして再婚相手を見つけられれば、といった軽い気持ちで親をサポートするのも親孝行のひとつなのかもしれない。
子どもから親への仕送り
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かつては子どもが親に仕送りするのは常識になっていたが、公的年金制度が整い、それなりのお金が受け取れるようになったせいもあって、今や事情は変わりつつある。貯蓄と消費に関する世論調査によると、老後の生活資金源のうち「子どもなどからの援助」を受けている割合は1991年で約11%。しかも1995年には約8%とわずかだが減る傾向にある。
とあるアンケート調査でも、9割以上の親が子どもの援助に期待していなかった。そればかりか、「子孝行をする」と子どもの懐具合まで心配してくれる物わかりのいい親がいたり、子どもに援助を受けるほど老けていないとばかり「必要なし」と断言する回答も目に付いた。
なかには、あきらめ派もいて「娘が経済的に不安定な生活をしているので、月額20万円援助している」(自営・64歳)と援助側にまわっていたり、「期待していないが、年に1回程度旅行のプレゼントであれば」と心密かに楽しみにしているケースもある。
しかし、まったく期待していないといえばウソになる。「期待していないというのは、本心ではない。援助してもらっている話を聞くと、自分もそう言って自慢してみたいと思う。子どもがお金持ちになったら期待する」(会社員・58歳)。これが、ズバリ親の本音!?